GaroonとkintoneのMCPサーバーを使ってガルキンポータルを作成しよう
はじめに
本記事では、Claude for DesktopからGaroonとkintoneのローカルMCPサーバーを利用し、「Garoon×kintone連携によるkintoneCMS(以下、ガルキンポータル)」の構築を自動化する方法を紹介します。
ガルキンポータルとは
「ガルキンポータル」とは、Garoonとkintoneを組み合わせた造語で、kintoneをCMS(コンテンツ管理システム)として活用し、そのデータをGaroonポータルに自動反映させる連携手法を指します。
この手法により、kintoneアプリをGaroonポータルの管理画面として部門情報やリンク集などのコンテンツを一元管理できます。
具体的には、次のような流れでコンテンツを管理します。
- kintoneでコンテンツを管理
部門情報、リンク集、お知らせなどのコンテンツをkintoneアプリで一元管理 - Garoonポータルで表示
kintone REST APIを通じてデータを取得し、Garoonポータルに動的に表示 - 簡単な更新作業
kintoneのレコードを編集するだけで、Garoonポータルの表示内容が自動更新
上記の流れをプロンプトによる指示だけで実行でき、kintoneアプリの設計からGaroonポータル用HTMLポートレットのソースコード生成まで、一気通貫で自動化します。
このようにkintoneをCMSとして活用することで、技術的な知識がなくてもポータルを更新できる環境を実現できます。
前提条件と注意事項
前提条件と注意事項は、次の記事を参照してください。
kintoneとGaroonのMCPサーバーを使ってみよう
イメージ
本記事で紹介するGaroonポータルの完成イメージは、次のとおりです。
実際にGaroonに登録されている組織情報を元に、部門紹介欄とカテゴリー別リンク一覧を表示します。
画像左上の「部門別Garoonポータル(xxx)」をクリックすると、該当部門の情報が表示されます。
kintoneアプリをCMSとして活用するイメージは、次のとおりです。
操作方法と注意事項を記載した「部門別Garoonポータル」アプリを作成し、1部門1レコードで登録します。
アプリのレコードを編集するだけで、Garoonポータルの表示内容が自動更新されます。
システム構成
本記事で紹介するシナリオのシステム構成は、次のとおりです。
プロンプトの用意
設計ポイント
期待どおりの成果物を得るためには、AIが迷いやすいポイントを先回りして明示しておくことが重要です。
今回は次の5つに気を付けてプロンプトを設計します。
- 方向性を示す。
例:「洗練されたスタイリッシュでGaroon UIと調和するデザイン」 - 出力形式を指定する。
例:Garoonポートレットの基本構造、HTML/CSS/JavaScriptのスコープ - 具体例を示す。
例:表示順序の具体的なテーブル、APIの実装例 - 技術的制約を明確化する。
例:実装テンプレートの提供とコーディング規約/セキュリティルールの明示 - タスクを分割する。
例:6つのセクションに分けて段階的に構造化
実行権限の確認
Claudeの[設定]>[拡張機能]>「拡張機能名(例:Garoon MCP Server)」>[設定]画面の「ツールの権限」項目で、実行できる操作を確認しておきます。
ここにない操作は、AIに依頼しても実行されません。
今回のシナリオに必要なGaroonの操作は、次のとおりです。
Get Organizations:Garoon上の組織を取得
また、今回のシナリオに必要なkintoneの操作は、次のとおりです。
Add App:動作テスト環境にアプリを作成Add Form Fields:アプリにフィールドを追加Get Form Fields:アプリのフィールドを取得Get Form Layout:アプリのフォームレイアウトを取得Update Form Layout:アプリのフォームレイアウトを更新Update General Settings:アプリの一般設定を変更Deploy App Settings:アプリ設定を運用環境へ反映Get App Deploy Status:アプリ設定の運用環境への反映状況確認Add Records:複数のサンプルデータを追加
サンプルプロンプト
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実行方法
- Claude画面左上の[サイドバーの切り替え]をクリックし、[新規チャット]をクリックします。
- 上記のサンプルプロンプトを入力します。
- 実行時に「許可」を求められたら、次のどちらかを選択します。
- 「常に許可」
以後の実行が自動承認されるため効率的ですが、誤操作や悪意あるコマンドも実行されるリスクがあります。 - 「一度だけ許可」
安全性は高いですが、その都度確認が必要です。
基本的には「一度だけ許可」がおすすめです。
- 「常に許可」
実行結果の確認
確認ポイントは次の3点です。
- HTMLポートレットのソースコードが生成されているか。
- kintoneアプリ「部門別Garoonポータル」が作成されているか。
- アプリ内にサンプルデータが登録されているか。
ひとつずつ確認していきましょう。
1. HTMLポートレットのソースコードが生成されているか
次のようなHTMLのソースコードが生成されていれば成功です。
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生成されたソースコードは、一度必ず目を通してください。
意図しないコードが含まれていないか、セキュリティ上の問題がないか等を確認し、問題があれば修正してください。
2. kintoneアプリ「部門別Garoonポータル」が作成されているか
kintoneアプリ「部門別Garoonポータル」が作成されているか確認します。
イメージの画像のように、アプリ説明欄に操作方法と注意事項が記載されていれば成功です。
3. アプリ内にサンプルデータが登録されているか
アプリ内にサンプルデータが登録されているか確認します。
イメージの画像のように、2件のレコードが実際のGaroon上に存在する組織名で登録されていれば成功です。
動作確認
HTMLポートレットの表示を確認する
生成されたソースコードをGaroonのHTMLポートレットに追加します。
追加方法は、次のヘルプを参照してください。
HTMLポートレットを追加する
追加したら、HTMLポートレットを公開する前に、ユーザー画面でどのように表示されるか確認しましょう。
表示の確認方法は、次のヘルプを参照してください。
HTMLポートレットの表示を確認する
本記事で紹介しているソースコードを適用すると、次のように「営業部」の情報だけ表示されます。
「部門別Garoonポータル」アプリのサンプルデータには、「営業部」と「監査部」が登録されても、ポートレットには「営業部」の情報だけ表示される場合があります。
この場合、HTMLソースコード内のRECORD_IDの値が「1」に設定されるか確認してみましょう。
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RECORD_IDは「部門別Garoonポータル」アプリのレコード番号に対応しています。
「1」に設定されている場合は、RECORD_IDの値を「2」に変更して、再度HTMLポートレットに追加すると、次のように「監査部」の情報が表示されるはずです。
「部門別Garoonポータル」アプリのレコードを編集してHTMLポートレットの動作を確認する
「部門別Garoonポータル」アプリのレコードを編集して、HTMLポートレットの動作を確認してみましょう。
たとえば、「営業部」のレコードに「部門画像」を追加して保存します。
GaroonのHTMLポートレットをリロードして表示を確認すると、イメージの画像のように、画像が表示されました。
他にも、背景色の変更や表示順序の変更など、アプリのレコードを編集して、HTMLポートレットの動作を確認してみてください。
ポータルに配置する
HTMLポートレットの表示を確認できたら、実際にGaroonポータルに配置して公開します。
詳細は、次のヘルプを参照してください。
ポータル作成の流れ
イメージの画像のように、部門別にポータルを表示したい場合は、部門毎にポータルを追加してください。
おわりに
本記事では、GaroonとkintoneのMCPサーバーを使って、kintoneをCMSとして活用するガルキンポータルを作成する方法を紹介しました。
プロンプトの工夫により、kintoneアプリの設計からHTMLポートレットのソースコード生成まで、一度の実行で完結できることが確認できました。
kintoneをCMSとして活用することで、技術的な知識がなくてもレコード編集だけでGaroonポータルを更新できる環境を実現できます。
生成されたソースコードは必ず内容を確認し、本番環境で利用する場合は権限設定を適切に行ってください。
今回は部門別ポータルの基本的なパターンを紹介しましたが、ぜひプロンプトを工夫してデザインや機能をカスタマイズするなど、いろいろと試してみてください。
関連記事
本記事は、次の環境で動作を確認しています。
- kintone:2025年11月版
- Garoon:2025年11月版
- kintoneローカルMCPサーバー:v1.2.1
- GaroonローカルMCPサーバー:v1.0.1
- Claude for Desktop: v1.0.734