警告
導入する際は、次の該当箇所を確認し、認証情報が漏洩した場合の影響を考慮して慎重に検討してください。
該当箇所:一時的なアクセストークンを発行する部分
参考)
はじめに
Box は、Box Inc. が提供するクラウドコンテンツ管理サービスです。
cybozu developer networkではBoxと連携した Box for kintoneプラグイン を公開していますが、今回はGaroonと連携する便利なカスタマイズを2件紹介します。
-
ポートレットのカスタマイズ
Garoonのログインユーザーに紐づくBoxアカウントのフォルダーを表示します。
Boxで管理しているファイルをGaroonから閲覧できます。 -
スケジュールのカスタマイズ
予定に紐づく Box Notes をボタンひとつで作成・表示します。
Box Noteを作っておけば、打ち合わせなどの議事録のメモ帳として使えるので、議事録管理も簡単です。
必要なもの
- クラウド版Garoon
- Box ビジネスアカウント
注意事項
- このカスタマイズには、クラウド版Garoonの環境が必要です。
- 使用しているWebブラウザーの設定によっては、サードパーティーCookieの読み取りを許可する必要があります。
ポートレットのカスタマイズ
完成イメージ
Boxアカウントのフォルダー一覧を表示するポートレットです。
カスタマイズの設定
Garoonポートレットを追加、ポータルに表示します。
1. HTMLポートレットの追加
次の内容で、HTMLポートレットを追加します。
手順の詳細は、
HTMLポートレットの設定
を参照してください。
項目 | 値 |
---|---|
ポートレット名 | 任意の値を入力してください。 この記事では「Box連携」とします。 |
ポートレットの内容 |
|
ポートレットHTML
|
|
2. ポータルへの配置
作成したHTMLポートレットをポータルに配置します。
手順の詳細は、
ポートレットを配置する
を参照してください。
動作確認
-
Garoonで、カスタマイズしたHTMLポートレットを配置したポータルを開きます。
-
Boxポートレット上のログインボタンをクリックし、Boxのアカウント情報を入力してログインします。
次の画面が表示される場合は、雲のアイコンを操作します。
-
GaroonのポータルにBoxのファイル一覧が表示されます。
スケジュールのカスタマイズ
完成イメージ
予定メニュー連携 を使って、特定の予定メニューのときに、予定の詳細画面でBox Noteを作成、表示します。
Box Noteの作成
予定の詳細画面の[Box Noteを追加する]ボタンをクリックすると、予定のタイトルと同じファイル名でBox Noteを作成します。
- Box Noteは、ひな型になるBox Noteをコピーして作成されます。
- Box Noteは、議事録を作成する人が作成してください。
共同で編集したい場合は、作成したBox Noteの共有リンク設定を、編集権限付き共有リンクに変更してください。
参照: box Support | Box Notesの共有
予定に紐づくBox Noteの表示
予定に紐づくBox Noteが作成されていれば、予定の詳細画面にBox Noteの内容を表示します。
- [Boxで編集する]ボタンをクリックすると、別タブでそのBox Noteが表示され内容を編集できます。
- [Box noteの連携削除]ボタンをクリックすると、予定とBox Noteの紐付けが解除されます。
- 連携を解除しても、作成したBox Noteは削除されません。
- 繰り返し予定では、同じBox Noteが表示されます。
システム構成
GaroonとBoxの関係は次のようになっています。
- Box APIでAPI実行に必要なアクセストークンを取得します。
- 取得したアクセストークンを利用して、BoxのAPIを実行し、ノートの作成や共有URLを生成します。
スケジュールのカスタマイズの設定
スケジュールのカスタマイズでは、BoxとGaroonで設定します。
Boxの設定
Boxでは、以下を実施します。
- アプリの作成
- テンプレートとするBox Noteの準備
- 管理対象ユーザーの追加
1. アプリの作成
OAuthによる認可のため、「クライアントID」と「クライアントシークレット」を発行します。
-
Box開発者コンソール にログインします。
-
[アプリの新規作成]をクリックします。
-
[カスタムアプリ]を選択します。
-
[サーバー認証(クライアント資格情報許可)]を選択し、アプリ名を入力します。
ここでは、例として「Garoon-schedule」を入力しています。
入力が終わったら、[アプリを作成]ボタンをクリックします。
-
[構成]タブで、次の内容を設定します。設定したら[保存]ボタンをクリックします。
- アクセスレベル:「アプリ + Enterpriseアクセス」を選択
- 管理操作:「ユーザーを管理する」にチェック
- 高度な機能:「as-userヘッダーを使用してAPI呼び出しを行う」
-
[承認]タブで、「Enterpriseへのアクセス権限に対する承認を得るためにアプリを送信」の[確認して送信]ボタンをクリックします。
-
「アプリ承認の送信内容の確認」ダイアログで、「アプリの説明」に適当な内容を入力し、[送信]ボタンをクリックします。
-
右上のユーザーアイコンをクリックし、「管理コンソール」を選択します。
-
左メニューの「アプリ」を選択し、[カスタムアプリ]タブで作成したアプリを選択します。
-
[承認]ボタンをクリックします。
-
「カスタムアプリの承認」ダイアログで、[承認]ボタンをクリックします。
-
[マイアプリ]で[作成したアプリ名]をクリックし、[一般]タブを開きます。
-
「マイアプリ」で、Enterprise IDを確認します。
Enterprise IDは、後述の プロキシAPIの設定 で使用するので、メモしておいてください。
-
「サービスアカウント情報」で、Service Account IDを確認します。
Service Account IDは、後述の ひな形Box Note準備 でNoteの共有先として利用するので、メモしておいてください。
-
[構成]タブを開きます。
-
「OAuth 2.0資格情報」で、クライアントIDとクライアントシークレットを確認します。
クライアントシークレットは、[クライアントシークレットを取得]ボタンをクリックすると取得できます。
クライアントIDとクライアントシークレットは、後述の プロキシAPIの設定 で使用するので、メモしておいてください。
以上で、アプリの設定は終わりです。
2. ひな型Box Noteの準備
予定に紐づくBox Noteの元となる、ひな型Box Noteを用意します。
- Box にログインします。
- 任意のフォルダーを開き、[新規]ボタンをクリック、[テンプレート使用のBox Note]を選択します。
- 新規ウィンドウが表示されます。任意のテンプレートを選択し、[作成]ボタンをクリックします。
この記事では、Boxが用意している「ミーティングアジェンダ」を利用します。
- 作成されたNoteのURLより、Note ID(「notes/」以降の値)を確認します。
例: URLがhttps://app.box.com/notes/xxxxxx のとき、Note IDはxxxxxxです。
Note IDは、後述の カスタマイズファイルの適用 で利用するので、メモしておいてください。 - サンプルデータが入力されているので、不要な部分を削除しておきます。
- ノートを追加したフォルダーに戻り、[共有]ボタンをクリックします。
- 「ユーザーを招待」に、先ほどメモしておいたService Account IDを入力し、[送信]ボタンをクリックします。
以上で、ひな型Box Noteの準備は終わりです。
3. 管理対象ユーザーの追加
管理対象ユーザーに、Boxカスタマイズを適用するユーザーのメールアドレスを追加します。
このとき、
cybozu.comのユーザーアカウント
のメールアドレスと同じメールアドレスを指定してください。
手順の詳細は
box Support | 管理対象ユーザーの追加
を参照してください。
Garoonの設定
Garoonでは、以下を実施します。
- プロキシAPIの設定の追加
- 予定連携メニューの追加
- スケジュールカスタマイズの適用
1. プロキシAPIの設定の追加
Box APIを実行するため、6つのプロキシAPI設定を追加します。
手順の詳細は、
プロキシAPIの設定
を参照してください。
-
ファイルのコラボレーション(アクセス権)に操作ユーザーを追加する。
項目 値 ステータス 「有効」を選択 プロキシコード addUserToCollaborations メソッド 「POST」を選択 URL https://api.box.com/2.0/collaborations ヘッダー - コンテンツタイプ
- キー:Content-Type
- 値:application/json
- コンテンツタイプ
-
テンプレートとするBox Noteをコピーする。
項目 値 ステータス 「有効」を選択 プロキシコード copyNote メソッド 「POST」を選択 URL https://api.box.com/2.0/files ヘッダー - コンテンツタイプ
- キー:Content-Type
- 値:application/json
- コンテンツタイプ
-
共有リンクのURLを作成、取得する。
項目 値 ステータス 「有効」を選択 プロキシコード createSharedLink メソッド 「PUT」を選択 URL https://api.box.com/2.0/files ヘッダー - コンテンツタイプ
- キー:Content-Type
- 値:application/json
- コンテンツタイプ
-
アクセストークンを取得する。
項目 値 ステータス 「有効」を選択 プロキシコード getApiToken メソッド 「POST」を選択 URL https://api.box.com/oauth2/token ヘッダー - コンテンツタイプ
- キー:Content-Type
- 値:application/json
ボディ - クライアントID
- キー:client_id
- 値: Boxの設定 - アプリの作成 で確認したクライアントID
クライアントシークレット - キー:client_secret
- 値: Boxの設定 - アプリの作成 で確認したクライアントシークレット
- 許可種別
- キー:grant_type
- 値:client_credentials
- Boxのタイプ
- キー:box_subject_type
- 値:enterprise
- BoxのエンタープライズID
- キー:box_subject_id
- 値: Boxの設定 - アプリの作成 で確認したEnterprise ID
- コンテンツタイプ
-
ファイルのコラボレーション(アクセス権)を取得する。
項目 値 ステータス 「有効」を選択 プロキシコード getCollaborations メソッド 「GET」を選択 URL https://api.box.com/2.0/files ヘッダー - コンテンツタイプ
- キー:Content-Type
- 値:application/json
- コンテンツタイプ
-
BoxユーザーのユーザーIDを取得する。
項目 値 ステータス 「有効」を選択 プロキシコード getUserId メソッド 「GET」を選択 URL https://api.box.com/2.0/users ヘッダー - コンテンツタイプ
- キー:Content-Type
- 値:application/json
- コンテンツタイプ
2. 予定メニュー連携
予定メニュー連携を使うと、予定を登録するときに選択する「予定メニュー」に連携して、スケジュール詳細画面の「メモ」の下に行を追加できます。
手順の詳細は、
予定メニュー連携を追加する
を参照してください。
追加する予定メニューは次のとおりです。
項目名 | 設定値 |
---|---|
予定メニュー名 | 任意の値を選択します。 この記事では「打合」メニューが選択されたときに表示したいので、「打合」とします。 |
ポートレット | 「ポートレット例」を選択し、次のHTMLを貼り付けます。 |
ポートレットHTML
|
|
3. カスタマイズファイルの適用
カスタマイズグループを作成し、スケジュールのカスタマイズファイルを適用します。
手順の詳細は、
スケジュールのカスタマイズ
を参照してください。
追加するカスタマイズ設定は、次のとおりです。
項目名 | 設定値 |
---|---|
カスタマイズ | 「適用する」を選択します。 |
カスタマイズグループ名 | 任意の値を入力します。 今回は「Box連携」とします。 |
適用対象 | カスタマイズを適用するユーザー・グループを選択します。 |
JavaScriptカスタマイズ | 次の内容を指定します。
|
サンプルプログラム
サンプルプログラムでは、webpackを使って次のことを行っています。
webpackに関する説明は、次の記事を参照してください。
webpackとBabelを導入してkintoneカスタマイズを効率化する
- webpackを使って、Internet Explorerで動作させるために必要なライブラリの組込み構文を変換する。
- jQuery や Garoon html/css/image-Kit for Customize を組み込む。
webpackを実行するには、Node.jsの実行環境が必要です。
Node.js公式サイト
からインストーラーをダウンロードし、セットアップしてください。
このカスタマイズでは、Node.js 14で動作を確認しています。
-
https://github.com/garoon/garoonBox にアクセスします。
-
[Clone or download]ボタンをクリックして、[Download ZIP]を選択します。
-
ダウンロードしたzipファイルを解凍します。
-
解凍したファイルの「src」フォルダー下の「index.js」を開き、次の値を修正します。
8行目 BOX_TARGET_FILE_ID:メモしたNote ID -
ターミナルで、解凍したフォルダーに移動します。
1
cd Garoonox-master
-
次のコマンドで、必要なライブラリをインストールします。
1
npm install
-
webpackを実行します。
1
npm run webpack_prod
-
「dist」フォルダー以下のbundled_index.jsをGaroonカスタマイズに利用します。
動作確認
-
Garoonスケジュールで、予定を登録します。
このとき、「タイトル」項目の予定メニューで「打合」( 予定メニュー連携 で設定したメニュー名と同じ値)を選択します。
-
登録した予定をクリックし、予定の詳細画面を表示します。
-
「打合」の[Box Noteを追加する]ボタンをクリックします。
-
Boxへのログインを求めるウィンドウが表示されます。Boxのアカウント情報を入力してログインします。
-
予定の「タイトル」と同じ名前のBox NoteがBoxに作成されます。
作成されたBox Noteが、Garoonの予定詳細画面に表示されればOKです。Boxのログインを求められる場合は、Boxのアカウント情報を入力してログインしてください。
おわりに
この記事では、Box 内のファイル一覧のポータル表示や、スケジュールに紐づくBox Noteを作成・表示するポートレットカスタマイズを紹介しました。
他にもcybozu developer networkでは、さまざまな
Garoonポータルカスタマイズ
や
Garoonスケジュールカスタマイズ
を紹介しています。ぜひ参照してください。
サンプルコードで使用しているAPI
このカスタマイズでは、次のAPIを利用しています。
お使いのGaroonで使用できるAPIかどうかは、各APIのドキュメントを参照してください。
- Garoon JavaScript API
- Garoon REST API
- Box API(外部サイト)
変更履歴
- 2021年8月16日スケジュールカスタマイズのコード修正
すでにこのカスタマイズを適用している場合、 スケジュールのカスタマイズの設定 を参考にもう一度適用し直してください。
なお、適用し直す前に作成したBox Noteは表示されなくなります。
変更内容の詳細は次のとおりです。- Boxの共有リンクの保存先を、カスタム項目(additionalItems)からカスタム項目(Schedule datastore)に変更
- jQueryと Garoon html/css/image-Kit for Customize をwebpackでバンドルするように変更
- Boxへの認証方法を、OAuth.ioの利用から、Boxのサーバー認証(クライアント資格情報許可)に変更
このTipsは、2021年7月版Garoonで動作を確認しています。