kintoneコネクタ(Microsoft Power Automate)を使う前に知っておきたいこと
目次
- はじめに
- 1. kintoneコネクタの機能一覧
- 2. 利用できるのは有償プランのみ
- 3. cybozu.com共通管理の設定変更が必要
- 4. 「Webhookの送信を許可する」を有効にする必要がある
- 5. ゲストスペース内アプリでは使えない
- 6. Webhookの通知数には上限がある
- 7. IPアドレス制限時の利用可否
- 8. SAML認証時は利用可能
- 9. kintoneコネクタ(トリガー)で取得できるフィールド
- 10. kintoneコネクタ(アクション)で設定できるフィールド
- 11. Microsoft Power Automateの設定者=リクエストの実行者である
- 12. エラー対応でできること
- まとめ
- 更新履歴
はじめに
Microsoft Power Automate
を使うとノーコーディングでさまざまなサービスと連携できます。
非常にワクワクします。そのワクワクをkintoneでも!と2018年1月にkintoneコネクタをリリースしました。
なんでもできそう!?と思いがちなkintoneコネクタですが、事前に検討すべきポイントがあります。
今回はそのポイントを11選としてまとめました。
今後も継続更新しますので定期的にチェックしてください!
1. kintoneコネクタの機能一覧
kintoneコネクタ(トリガーとアクション)の機能一覧になります。
kintoneコネクタ(トリガー)はWebhook機能を使っているため、Webhookは参考までに掲載しています。
今後のバージョンアップでトリガーやアクションの追加対応を予定しています。お楽しみに!
操作 | kintoneコネクタ(トリガー) | kintoneコネクタ(アクション) | Webhook(トリガー) | |
---|---|---|---|---|
ブラウザー/kintoneモバイル | レコード登録(再利用含む) | 〇 | 対象外 | 〇 |
レコード編集(変更履歴からのリバート含む) | 〇 | 対象外 | 〇 | |
レコード削除 | 〇 | 対象外 | 〇 | |
レコード一括削除 | × | 対象外 | × | |
レコードコメント書き込み | 〇 | 対象外 | 〇 | |
レコードステータス変更(ステータスが進んだときのみ) | 〇 | 対象外 | 〇 | |
REST API | レコード取得 | × | × | × |
レコード登録 | 〇 | 〇 | 〇 | |
レコード一括登録 | × | × | × | |
レコード更新 | 〇 | 〇 | 〇 | |
レコード一括更新 | × | × | × | |
レコード削除 | × | × | × | |
複数アプリへのレコード一括処理 | 個々の処理に準ずる *1 | × | 個々の処理に準ずる *2 | |
Excel/CSV | 読み込み | × | - | × |
*1 レコード登録/レコード一括登録を一括処理した場合、レコード登録のみ動作します。 ^
*2 レコード登録/レコード一括登録/レコード更新/レコード一括更新を一括処理した場合、レコード登録/レコード更新のみ動作します。 ^
2. 利用できるのは有償プランのみ
PremiumコネクタとしてMicrosoft Power Automateの有償プランでのみ提供しています。
Office 365の同梱版では利用できないためご注意ください。
詳細は
Microsoft Power Automateのプラン
を確認してください。
3. cybozu.com共通管理の設定変更が必要
kintoneコネクタを利用するには外部サービスとの連携を許可する必要があります。
詳細は
ユーザーに外部サービスとの連携を許可する
を確認してください。(cybozu.com共通管理のシステム管理者権限が必要です)
4. 「Webhookの送信を許可する」を有効にする必要がある
「Webhookの送信を許可する」が有効になっていない場合、kintoneコネクタ(アクション)は利用できますが、kintoneコネクタ(トリガー)は利用できません。
kintoneコネクタ(トリガー)を利用するには、cybozu.com管理画面で「Webhookの送信を許可する」を有効にする必要があります。設定方法は「 Webhookの送信を制御する 」を確認してください。
5. ゲストスペース内アプリでは使えない
ゲストスペース内アプリではトリガー、アクションともに使えません。
Microsoft Power AutomateのHTTPアクションを使用することでゲストスペース内アプリに対してkintone REST APIを実行できます。
詳しくは
Microsoft Power AutomateのHTTPアクションで任意のkintone REST APIを実行する
を確認してください。
6. Webhookの通知数には上限がある
kintoneコネクタ(トリガー)が利用しているWebhookの通知は、ドメイン単位で1分間に60回まで送信されます。
1分間に60回を超えてレコードを操作すると、61回目以降の操作ではWebhookの通知が送信されません。
7. IPアドレス制限時の利用可否
cybozu.comでIPアドレス制限を利用する場合は、下記IPアドレスを許可する必要があります。
2018年3月時点では、次のすべてのサービスのIPアドレスを許可してください。
- Microsoft Power AutomateのIPアドレス
-
Office 365のIPアドレス
ページ上部の「ダウンロード」からIPアドレス情報を含んだJSONファイルをダウンロードできます。 - AzureデータセンターのIPアドレス
IPアドレスを許可しない場合はkintoneコネクタ(アクション)は使えません。
詳細は以下の表を確認してください。
kintoneコネクタ(トリガー) | kintoneコネクタ(アクション) | |
---|---|---|
Basic認証 | 〇 | × |
セキュアアクセス | 〇 | × |
8. SAML認証時は利用可能
SAML認証時はkintoneコネクタのトリガーやアクションが使えます。
注意事項ではありませんが、気になる方もいらっしゃると思うので記載してあります。
9. kintoneコネクタ(トリガー)で取得できるフィールド
以下の表を確認してください。
取得可否 | 備考 | |
---|---|---|
文字列(1行) | 〇 | |
リッチエディター | 〇 | HTMLコードを含む文字列として扱われます。 例: <div><b>あいうえお</b></div> |
文字列(複数行) | 〇 | |
数値 | 〇 | |
計算 | 〇 | |
ラジオボタン | 〇 | |
チェックボックス | 〇 | 配列として扱われます。 |
複数選択 | 〇 | 配列として扱われます。 |
ドロップダウン | 〇 | |
日付 | 〇 | |
時刻 | 〇 | |
日時 | 〇 | |
添付ファイル | △ | 以下のプロパティを取得できます。
配列として扱われます。 |
リンク | 〇 | |
ユーザー選択 | 〇 | 以下のプロパティを取得できます。
|
組織選択 | 〇 | 以下のプロパティを取得できます。
|
グループ選択 | 〇 | 以下のプロパティを取得できます。
|
関連レコード一覧 | × | |
ルックアップ | 〇 | |
グループ | 〇 | グループに含むフィールドも通常フィールド同様に取得できます。 |
テーブル | × | テーブル内フィールドは取得できません。 |
レコード番号 | 〇 | |
作成者 | 〇 | 以下のプロパティを取得できます。
|
作成日時 | 〇 | |
更新者 | 〇 | 以下のプロパティを取得できます。
|
更新日時 | 〇 | |
Record URL kintoneコネクタ用の要素 |
〇 | |
Webhook notification ID kintoneコネクタ用の要素 |
〇 |
Webhookのレコード削除トリガーでは、フィールドの内容を取得できません。
kintoneコネクタのみの利用では、削除をトリガーとした連携先の情報削除はできません。削除フラグを用意するなどの運用をご検討ください。
取得できるパラメーターの詳細は Webhook(レコード削除) を参照してください。
10. kintoneコネクタ(アクション)で設定できるフィールド
以下の表を確認してください。
取得可否 | 備考 | |
---|---|---|
文字列(1行) | 〇 | 自動計算が有効な場合は設定できません。 |
リッチエディター | 〇 | HTMLコードを含む文字列として扱われます。 例: <div><b>あいうえお</b></div> |
文字列(複数行) | 〇 | |
数値 | 〇 | |
計算 | × | |
ラジオボタン | 〇 | |
チェックボックス | × | |
複数選択 | × | |
ドロップダウン | 〇 | |
日付 | 〇 | |
時刻 | 〇 | |
日時 | 〇 | |
添付ファイル | × | |
リンク | 〇 | |
ユーザー選択 | × | |
組織選択 | × | |
グループ選択 | × | |
関連レコード一覧 | × | |
ルックアップ | 〇 | ルックアップのコピー先フィールドは設定できません。 |
グループ | 〇 | グループに含むフィールドも通常フィールド同様に設定できます。 |
テーブル | × | テーブル内フィールドは設定できません。 |
11. Microsoft Power Automateの設定者=リクエストの実行者である
Microsoft Power Automateの設定者=リクエストの実行者になります。
例1)kintoneのレコード登録時にOutlook予定表を登録する
アクション「Office 365 Outlook - イベントの作成(V2)」には開催者(実行者)を指定する機能がありません。
そのため、この場合はMicrosoft Power Automateの設定者が開催者(実行者)になります。
例2)Outlook予定表が登録されたら、kintoneにレコード登録する
同様に、Microsoft Power Automateの設定でkintoneにログインしたユーザーがレコード作成者(実行者)になります。
12. エラー対応でできること
kintoneのWebhookでエラーが発生した場合、リトライ機能やメール通知機能はありません。
Microsoft Power Automateでエラーが発生した場合は、リトライ機能を利用できます。
オプションの設定メニューから再試行ポリシーを設定できます。
エラー発生時に通知させる方法はありますが、標準の通知機能ではMicrosoft Power Automate設定者のみへの通知になります。
まとめ
2018年3月時点ではkintoneコネクタの機能が一部しかありません。
また、能動的なエラー対応が必要なことから、大規模環境やエラーが許されない状況での利用は難しそうです。
とはいえ、ノーコーディングで連携できることは大きな魅力となり、個人や小規模環境ではさまざまな使い道がありそうです。
今後のバージョンアップに期待しつつ、計画的に利用しましょう!
更新履歴
- 2020年11月26日「Webhookの通知数には上限がある」を追加しました。
- 2019年4月4日「kintoneコネクタ(アクション)で設定できるフィールド」を追加しました。
- 2018年11月1日「kintoneコネクタの機能一覧」を更新しました。
- 2018年4月26日「ゲストスペース内アプリでは使えない」を追加しました。