kintoneのスペースをAPIを使ってカスタマイズしてみよう

目次

はじめに

kintoneのスペーストップ画面は、「お知らせ」欄にスペースの説明を表示したり、アプリを貼り付けてレコードの一覧を表示するなど、使用用途に合わせて自由に設定できます。
さらにスペースをカスタマイズするAPIを使うと、ポータルカスタマイズのように文字を表示したり、ボタンを設置したりできます。
本記事では、kintone JavaScript APIのスペースAPIを使った簡単なkintoneカスタマイズを紹介します。

スペースAPIでできること

スペースAPIを使うことで、ボタンを設置したり、リンクを動的に設置するなどのカスタマイズができます。

スペース系API

スペースに関するJavaScript APIは2021年10月現在、以下のものがあります。

完成イメージ

スペースの上側部分に出勤・退勤ボタンを設置します。
それぞれのボタンを押すと、タイムカードアプリにレコードが追加・更新されます。

JavaScriptを利用したスペースのカスタマイズ方法

このTipsのカスタマイズは、kintone全体にカスタマイズを適用します。
そのため、kintoneシステム管理者の権限が必要です。

下準備

  1. kintoneのポータル画面からスペースを作成します。

    • 作成するスペースは、「スペースのポータルと複数にスレッドを使用する」を有効にしてください。
    • JavaScriptカスタマイズで使用するため、作成したスペースIDを控えておきます。
      スペースIDは、ブラウザーでスペースを表示した際のURLで確認できます。
      以下のURLの場合、スペースIDは8です。
      https://{subdomain}.cubozu.com/k/#/space/8
  2. 1. で作成したスペース内にタイムカードアプリを作成します。

    • タイムカードアプリ (External link) は、kintoneアプリストアから追加してください。
    • タイムカードアプリのフィールド「承認者」を次のように設定します。
      • 「必須項目にする」のチェックを外す。
    • JavaScriptカスタマイズで使用するため、作成したアプリIDを控えておきます。
      アプリIDは、ブラウザーでアプリを表示した際のURLで確認できます。
      以下のURLの場合、アプリIDは245です。
      https://{subdomain}.cybozu.com/k/245/

ライブラリの入手

カスタマイズ例:スペースの上部に出勤・退勤ボタンを設置する

それではさっそく、スペースの上側に出勤・退勤ボタンを設置し、タイムカードアプリに登録するカスタマイズをしていきましょう。

kintoneへのカスタマイズ適用

スペースのカスタマイズは、kintoneシステム管理画面から行います。
詳しい設定方法については、kintoneヘルプ「 JavaScript / CSSファイルを取り込む (External link) 」を確認してください。
設定は以下のようになります。

  • PC用のJavaScriptファイル

    • https://js.cybozu.com/luxon/2.0.2/luxon.min.js
    • sweetalert2.min.js
    • kuc.min.js
    • sample.js
  • PC用のCSSファイル

    • sweetalert2.min.css
    • sample.css

サンプルコード
sample.js

出勤・退勤ボタンを設置し、ボタンを押したときにタイムカードアプリへレコードを追加・更新するためのスクリプトファイルです。
ご自身の環境に応じてつぎのとおり内容を変更してください。

  • 12行目{YOUR_CUSTOM_SPACE_ID}:「下準備1.」で控えたスペースIDに変更
  • 13行目{TIMECARD_APP_ID}:「下準備2.」で控えたタイムカードアプリのIDに変更
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/*
 * sample.js
 * Copyright (c) 2021 Cybozu
 *
 * Licensed under the MIT License
 * https://opensource.org/license/mit/
 */

(function() {
  'use strict';
  kintone.events.on('space.portal.show', (event) => {
    const SPACE_ID = '{YOUR_CUSTOM_SPACE_ID}'; // ボタンを設置するスペースIDに変更してください
    const TIMECARD_APP_ID = '{TIMECARD_APP_ID}'; // タイムカードアプリのアプリIDに変更してください
    if (event.spaceId !== SPACE_ID) {
      return event;
    }

    const toastObj = Swal.mixin({
      toast: true,
      position: 'top',
      showConfirmButton: false,
      timer: 3000,
      timerProgressBar: true,
      didOpen: function(toast) {
        toast.addEventListener('mouseenter', Swal.stopTimer);
        toast.addEventListener('mouseleave', Swal.resumeTimer);
      }
    });

    // スペース上側の要素を取得
    const el = kintone.space.portal.getContentSpaceElement();

    // 出勤・退勤ボタンの設定
    const startButton = new Kuc.Button({
      text: '出勤',
      type: 'submit',
      id: 'startButton'
    });

    const endButton = new Kuc.Button({
      text: '退勤',
      type: 'alert',
      id: 'endButton'
    });

    // 日付表示の設定
    const today = luxon.DateTime.local();
    const todayStr = today.setLocale('ja').toFormat('yyyy年M月d日(EEE)');
    const displayDateDiv = document.createElement('div');
    displayDateDiv.id = 'displayDate';
    displayDateDiv.innerText = todayStr;

    // 今日の日付と出勤・退勤ボタンを設置
    el.appendChild(displayDateDiv);
    el.appendChild(startButton);
    el.appendChild(endButton);

    // 出勤ボタンを押したときの関数
    startButton.addEventListener('click', () => {
      // 現在時刻を取得
      const currentDate = luxon.DateTime.local();
      const currentTimeStr = currentDate.toFormat('HH:mm');

      // ログインユーザーがすでに今日の日付でレコードを登録していないかチェック
      const query = '申請者 in (" USER", LOGINUSER()) and 申請日時 = TODAY() order by 申請日時 desc limit 1';
      const paramsForGet = {
        app: TIMECARD_APP_ID,
        query: query
      };
      return kintone.api(kintone.api.url('/k/v1/records.json', true), 'GET', paramsForGet).then((resp) => {
        if (resp.records.length !== 0) {
          // すでに今日の日付のレコードがあった場合、レコードの出勤時刻を更新
          const recordId = resp.records[0].$id.value;
          const paramsForUpdate = {
            app: TIMECARD_APP_ID,
            id: recordId,
            record: {
              出勤時刻: {
                value: currentTimeStr
              }
            }
          };
          return kintone.api(kintone.api.url('/k/v1/record.json', true), 'PUT', paramsForUpdate).then((resp2) => {
            toastObj.fire({
              icon: 'success',
              title: '出勤時刻を更新しました!'
            });
          }).catch((error) => {
            toastObj.fire({
              icon: 'error',
              title: '出勤時刻の更新に失敗しました。'
            });
          });
        }
        // 今日の日付のレコードがなかった場合、レコードを登録
        const paramsForAdd = {
          app: TIMECARD_APP_ID,
          record: {
            出勤時刻: {
              value: currentTimeStr
            },
            退勤時刻: {
              value: ''
            }
          }
        };
        return kintone.api(kintone.api.url('/k/v1/record.json', true), 'POST', paramsForAdd, (resp3) => {
          toastObj.fire({
            icon: 'success',
            title: '出勤時刻を登録しました!'
          });
        }, (error) => {
          toastObj.fire({
            icon: 'error',
            title: '出勤時刻の登録に失敗しました。'
          });
        });
      });
    });

    // 退勤ボタンを押したときの関数
    endButton.addEventListener('click', () => {
      // 現在時刻を取得
      const currentDate = luxon.DateTime.local();
      const currentTimeStr = currentDate.toFormat('HH:mm');

      // ログインユーザーが登録したレコードを取得
      const query = '申請者 in (" USER", LOGINUSER()) and 申請日時 = TODAY() order by 申請日時 desc limit 1';
      const paramsForGet = {
        app: TIMECARD_APP_ID,
        query: query
      };

      return kintone.api(kintone.api.url('/k/v1/records.json', true), 'GET', paramsForGet).then((resp) => {
        if (resp.records.length === 0) {
          // 今日の日付のレコードがない場合、レコードを登録
          const paramsForAdd = {
            app: TIMECARD_APP_ID,
            record: {
              出勤時刻: {
                value: ''
              },
              退勤時刻: {
                value: currentTimeStr
              }
            }
          };

          return kintone.api(kintone.api.url('/k/v1/record.json', true), 'POST', paramsForAdd).then((resp2) => {
            toastObj.fire({
              icon: 'info',
              title: '退勤時刻を登録しました!レコードから出勤時刻を忘れずに入力してください。'
            });
          }).catch((error) => {
            toastObj.fire({
              icon: 'error',
              title: '退勤時刻の登録に失敗しました。'
            });
          });
        }
        const recordId = resp.records[0].$id.value;
        const paramsForUpdate = {
          app: TIMECARD_APP_ID,
          id: recordId,
          record: {
            退勤時刻: {
              value: currentTimeStr
            }
          }
        };

        return kintone.api(kintone.api.url('/k/v1/record.json', true), 'PUT', paramsForUpdate).then((resp3) => {
          toastObj.fire({
            icon: 'success',
            title: '退勤時刻を更新しました!'
          });
        }).catch((error) => {
          toastObj.fire({
            icon: 'error',
            title: '退勤時刻の更新に失敗しました。'
          });
        });
      });
    });

    return event;
  });
})();
sample.css

出勤・退勤ボタンの表示位置を調整するためのCSSです。

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/*
 * sample.css
 * Copyright (c) 2021 Cybozu
 *
 * Licensed under the MIT License
 * https://opensource.org/license/mit/
 */

#displayDate {
  padding: 10px 20px 0px 30px;
  font-size: 20pt;
  font-weight: 500;
}

#startButton {
  padding: 10px 20px 20px 30px;
}

#endButton {
  padding: 10px 20px 20px 10px;
}
JavaScriptカスタマイズのポイント
11〜14行目

スペース表示イベントが実行されたときに、ボタンを表示したいスペースかどうかをスペースIDで判断します。
スペースカスタマイズではkintone全体にカスタマイズを適用しているため、if文を使ってボタンの表示/非表示を切り替えています。

30〜56行目

スペースの上側の空白要素を取得し、今日の日付と出勤・退勤ボタンをセットしています。
出勤・退勤ボタンは、kintone UI Component v1を利用してkintoneライクなボタンを設置しています。

61〜62行目

Luxonを使って、出勤ボタンを押したときの時間を時刻フィールドの書式にフォーマットしています。

135〜153行目

出勤ボタンを押し忘れて退勤ボタンだけを押した場合、退勤時刻のみ登録されます。
ユーザーに出勤時刻を登録してもらうようにメッセージを追加しています。
ボタンを押したあとに表示されるメッセージはSweetAlert2を使用して表示しています。

おわりに

スペースAPIを使って、出退勤のボタンを設置するカスタマイズを紹介しました。
部署やグループごとでスペースを使い分けて、出退勤を管理したいシーンにおすすめです。
cybozu developer networkでは ポータルの上部に出勤・退勤ボタンを設置するカスタマイズ も紹介しています。
スペースAPIを活用して、お好みのスペースカスタマイズをお試しください。

information

このTipsは、2021年10月版kintoneで動作を確認しています。