AIでkintone開発を始める前に知っておきたいプロンプトとMCP
はじめに
AIを使ったkintone開発の全体像と基本の進め方 では、AIに自然言語で実現したいことを伝え、生成されたコードを人が確認してkintoneへ適用する流れを紹介しました。
ただし、生成されたコード案が、最新のAPI仕様や対象アプリの設定を踏まえているとは限りません。
そこで重要になるのが、AIに何を伝え、必要な情報をどう渡すかです。
本記事では、目的や要件を伝えるプロンプトと、AIを外部の情報や機能につなぐしくみ、MCP(Model Context Protocol)について紹介します。
合わせて、kintone開発で利用できる2つのMCPサーバーの役割を整理します。
AIに伝える内容と、情報・機能のつなぎ方
AIにkintone開発を手伝ってもらう際は、目的や要件を伝えるだけでなく、開発で必要な情報を利用できるようにすることも大切です。
目的や要件、制約などは、主にプロンプトでAIに伝えます。
一方、kintoneの最新のAPI仕様や、接続先アプリのフィールド設定などは、AIがあらかじめ正確に把握しているとは限りません。
API仕様は随時更新され、アプリの設定も環境ごとに異なるためです。
このような情報をAIが必要に応じて取得したり、外部サービスの機能を利用したりするためのしくみのひとつが、MCPサーバーです。
AIに伝える内容と、情報や機能を利用する方法を整理すると、次のようになります。
| 種類 | 例 | 向いている方法 |
|---|---|---|
| 開発の目的、要件、制約や実施したいこと | 「一覧画面にボタンを出したい」 | プロンプト |
| 繰り返し守らせたい進め方・ルール | 「必ず公式仕様を確認する」「コーディング規約に沿わせる」 | Skillsなど |
| 更新される公式情報 | 最新のkintone API仕様 | kintone Documentation MCPサーバー |
| 接続先によって変わる情報 | フィールドコード、アプリ設定、レコード | kintone MCPサーバー |
このうち本記事では、プロンプトとMCPサーバーを取り上げます。
すべての方法を毎回使う必要はありません。
AIに何を手伝ってほしいのかを考え、必要な情報や機能を選びます。
Skills(Claudeでは「Agent Skills」と呼ばれます)は、繰り返し使いたい手順やルールなどをAIツール側にあらかじめ登録しておくしくみです。
登録しておくことで、同じ内容を毎回プロンプトに書く必要がなくなります。
たとえば「公式仕様を確認してから回答する」「コーディング規約に沿ってコードを書く」といった、繰り返し適用したい手順やルールをまとめておけます。
ただし、利用できるかどうかやしくみは、利用するAIツールによって異なります。
また、登録した内容が常に適用されるとは限りません。
Skillsには参考資料を含めることもできますが、最新の公式仕様を検索・参照しながら回答させる用途には、後述のkintone Documentation MCPサーバーの利用が適しています。
Claudeの場合は、次の公式ドキュメントも参照してください。
Agent Skills
目的や要件、制約はプロンプトで伝える
kintoneカスタマイズでは、作りたい機能に加えて、次のような開発上の前提を整理します。
これらのうち、目的や要件、守ってほしい条件はプロンプトでAIに伝えます。
- 対象のアプリ(アプリID)
- 現在の動作と、実現したい動作
- 対象の画面
- 処理を実行するタイミング(画面表示時、保存時など)
- 対象とするデバイス(PC版/モバイル版)
- 対象となるユーザーや必要な権限
- 使用するフィールドとフィールドコード
- 処理の実行条件
- レコードの追加、更新、削除の有無
- エラー発生時の動作
- 変更してよい範囲
これらすべてを毎回書く必要はありません。
依頼内容に応じて、伝えるべき前提を選びます。
このほか、コードだけを出力してほしいのか、使用したAPIの説明も必要なのかなど、回答に含めてほしい内容も伝えます。
たとえば、AIに次のように依頼したとします。
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この依頼でも、AIはコード案を生成できます。
しかし、ボタンをどの一覧画面に表示するのか、誰に表示するのか、押したときに何をするのかまではわかりません。
次のように条件を加えると、AIと前提をそろえやすくなります。
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プロンプトには、AIが判断するための前提を記載します。
目的や対象の画面、条件、変更してよい範囲などを伝えることで、依頼内容に近い回答を得やすくなります。
ただし、プロンプトを詳しく書いても、AIが回答の根拠とするAPI情報が正しいとは限りません。
AIの学習時点によっては、新しいAPIを知らなかったり、古い書き方を提案したりする場合があります。
このようなときに役立つのが、MCPというしくみです。
kintone開発では、公式情報の参照にkintone Documentation MCPサーバーを利用できます。
MCPはAIと外部の情報や機能をつなぐしくみ
AIが外部の情報を参照したり、外部サービスの機能を利用したりするための共通のしくみが、MCP(Model Context Protocol)です。
MCPに対応したAIツールは、MCPサーバーに接続することで、サーバーが提供する情報やツールを利用できます。
AIは依頼内容に応じてツールを呼び出し、情報の取得や外部サービスの操作をします。
たとえば、次のような使い方ができます。
- 外部にあるドキュメントを検索する。
- データベースから情報を取得する。
- 接続先のサービスを操作する。
補足
利用できる情報や操作は、接続するMCPサーバーによって異なります。
また、MCPサーバーに接続しても、AIが必ず適切な情報や機能を使うとは限りません。
必要に応じて、プロンプトで参照してほしい情報や利用してほしいツールを伝えます。
MCPの概要については、次の公式ドキュメントも参照してください。
What is the Model Context Protocol (MCP)?
kintone開発で利用できる2つのMCPサーバー
kintone開発では、サイボウズが提供する次の2つのMCPサーバーを利用できます。
- kintone Documentation MCPサーバー
- kintone MCPサーバー
これらは、提供する情報や機能が異なります。
公式情報を参照するkintone Documentation MCPサーバー
kintone Documentation MCPサーバーは、AIがcybozu developer networkにある公式ドキュメントやAPI情報を参照するためのサーバーです。
たとえば、AIがコード案を作成するときに、次のような情報を参照できます。
- kintone JavaScript APIの仕様
- kintone REST APIの仕様
- cybozu.com共通管理APIの仕様
- kintoneカスタマイズのコーディングガイドライン
- SDK、外部連携、開発Tipsなどの記事
詳しい機能や導入方法は、次の記事を参照してください。
kintone Documentation MCPサーバー
kintone環境を参照・操作するkintone MCPサーバー
kintone MCPサーバーは、対応するAIツールからkintoneを操作するための公式ローカルMCPサーバーです。
接続先のkintone環境に対して、主に次のような操作ができます。
- アプリ情報を取得する。
- フィールドやプロセス管理の設定を取得する。
- レコードを取得、追加、更新、削除する。
- フィールドやフォームの設定を変更する。
- アプリの設定を運用環境へ反映する。
このほか、レコードのステータス更新やコメント操作、添付ファイルのダウンロード、スペース操作なども可能です。
プロンプト
の説明で挙げた開発上の前提のうち、対象アプリのフィールド設定やフィールドコードなどは、kintone MCPサーバーを通じて取得できます。
すべての設定情報をプロンプトに書かなくても、AIが接続先のkintone環境を確認しながらコード案を作成できます。
kintone Documentation MCPサーバーが公式ドキュメントを提供するのに対し、kintone MCPサーバーは接続先の環境から情報を取得したり、その環境を操作したりする機能を提供します。
利用できる情報や操作の範囲は、MCPサーバーが提供する機能と、接続先の設定や権限によって決まります。
詳細は、次の記事を参照してください。
kintone MCPサーバー
おわりに
本記事では、AIに伝える目的や前提、MCPのしくみ、kintone開発で利用できる2つのMCPサーバーについて紹介しました。
AIに伝える内容と方法は、次の3つに整理できます。
- 目的や要件、制約は、プロンプトでAIに伝える。
- 公式ドキュメントやAPI情報は、kintone Documentation MCPサーバーを通じて参照する。
- 接続先のkintone環境にある情報の取得や操作には、kintone MCPサーバーを利用する。
まずはプロンプトとMCPサーバーの役割を意識しながら、AIを活用したkintone開発に取り組んでみてください。
次の記事では、2つのMCPサーバーを組み合わせた開発例を紹介しています。
AIがアプリの構成と最新のAPI仕様を確認しながらコードを作成する流れがわかります。
ぜひ参考にしてください。
MCPサーバーでAI x kintoneカスタマイズ開発の信頼性を高めよう
