フィールドの装飾をしてみよう

目次

kintoneのレコードのフィールドの文字色や背景色を変更するといった、フィールドを装飾するユースケースはよくあります。
たとえば、条件付き書式のように特定の条件に一致したときだけフィールドのスタイルを変更するといった例です。
kintoneにはフィールドの装飾に対応するためのkintone JavaScript APIが用意されています。
今回は、kintone JavaScript APIを使ってkintoneのフィールドを装飾する方法や、DOM操作によるkintoneアップデートへの影響について学びます。

カスタマイズを適用するアプリ

アプリストアの 総務への依頼受付 (External link) を使います。

フィールドのスタイルを変更するまでの処理の流れ

レコードのフィールドのスタイルを変更したい場合、次の流れで処理を実装します。

  1. kintone JavaScript APIを使って、フィールドのHTML要素を取得する。
  2. 取得したHTML要素のstyleプロパティを変更する。

とてもシンプルですね。

レコード詳細画面でフィールドのスタイルを変更する

それでは、レコード詳細画面でフィールドのスタイルを変更する方法を見ていきましょう。
実装するのは、レコード詳細画面を表示した後に、チェックボックスフィールド(フィールドコード:Urgent)の文字色を変更するカスタマイズです。
条件付き書式のように、チェックボックスの値に「至急」が選択されていたら、フィールドの文字を赤色かつ太字に変更します。

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(() => {
  'use strict';

  kintone.events.on('app.record.detail.show', (event) => {
    const record = event.record;
    const fieldCode = 'Urgent';

    // フィールドコードが「Urgent」のフィールド要素を取得
    const element = kintone.app.record.getFieldElement(fieldCode);
    // フィールドコードが「Urgent」のフィールドの値を取得
    const urgentFieldValue = record[fieldCode].value;
    // チェックボックスフィールドは配列で値が返ってくるため、至急が含まれているかを確認する
    const hasUrgent = urgentFieldValue.includes('至急');

    if (hasUrgent) {
      // 文字色を赤色にする
      element.style.color = '#ff0000';
      // 太文字にする
      element.style.fontWeight = 'bold';
    }

    return event;
  });
})();

このカスタマイズを適用すると、レコード詳細画面で、「至急」フィールドの「至急」の文字が赤色かつ太文字に変わります。

このカスタマイズのポイントは次の2つです。

  • レコード詳細画面のフィールド要素を取得するAPIを使って、フィールドのHTML要素を取得する。
  • styleプロパティを使ってスタイルを変更する。

レコード詳細画面のフィールド要素を取得するAPIを使って、フィールドのHTML要素を取得する

レコード詳細画面で特定のフィールドのHTML要素を取得するには、 レコード詳細画面のフィールド要素を取得するAPI kintone.app.record.getFieldElement()を使います。
APIの引数には、HTML要素を取得したいフィールドのフィールドコードを指定します。

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    const fieldCode = 'Urgent';

    // フィールドコードが「Urgent」のフィールド要素を取得
    const element = kintone.app.record.getFieldElement(fieldCode);

styleプロパティを使ってスタイルを変更する

kintone.app.record.getFieldElement()の戻り値は、フィールドのHTML要素です。
スタイルの変更は、取得したHTML要素のstyleプロパティを使って行います。

  • 文字色の変更:colorにカラーコードを指定する。
  • 太文字:fontWeightboldを指定する。
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    if (hasUrgent) {
      // 文字色を赤色にする
      element.style.color = '#ff0000';
      // 太文字にする
      element.style.fontWeight = 'bold';
    }

レコード一覧画面でフィールドのスタイルを変更する

次に、レコード一覧画面でフィールドのスタイルを変更する方法を見ていきましょう。
実装するのは、レコード一覧を表示した後に、ステータスフィールド(フィールドコード:ステータス)の文字色を変更するカスタマイズです。
ステータスフィールドの値によって背景色を変更します。

なお、ステータスフィールドは、プロセス管理を有効化することで利用できます。
有効化にする手順は、次のヘルプページを参照してください。
kintoneヘルプ:基本的なプロセス管理を設定する (External link)

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(() => {
  'use strict';

  kintone.events.on('app.record.index.show', (event) => {
    const records = event.records;
    const fieldCode = 'ステータス';

    // フィールドコードが「ステータス」のフィールド要素を取得
    const elements = kintone.app.getFieldElements(fieldCode);

    elements.forEach((element, i) => {
      // 何行目のレコードかを表す配列のインデックス番号を使って、レコードの値を取得する
      const record = records[i];
      const statusFieldValue = record[fieldCode].value;

      // ステータスフィールドの値によって、背景色を変更する
      switch (statusFieldValue) {
        case '未着手':
          // 赤色にする
          element.style.backgroundColor = '#ff0000';
          break;
        case '処理中':
          // 青色にする
          element.style.backgroundColor = '#0000ff';
          break;
        case '依頼者確認中':
          // 黄色にする
          element.style.backgroundColor = '#ffff00';
          break;
        case '完了':
          // 緑色にする
          element.style.backgroundColor = '#00ff00';
          break;
        default:
          break;
      }
    });

    return event;
  });
})();

このカスタマイズを適用すると、レコード一覧画面で、ステータスの値によって「ステータス」フィールドの背景色が変わります。

このカスタマイズのポイントは次の2つです。

  • レコード一覧画面のフィールド要素を取得するAPIを使って、フィールドのHTML要素を取得する。
  • 繰り返し処理を使って取得した要素のスタイルを変更する。

レコード一覧画面のフィールド要素を取得するAPIを使って、フィールドのHTML要素を取得する

レコード一覧画面で、特定のフィールドのHTML要素を取得するには、 レコード一覧画面のフィールド要素を取得するAPI kintone.app.getFieldElements()を使います。
APIの引数には、HTML要素を取得したいフィールドのフィールドコードを指定します。

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    const fieldCode = 'ステータス';

    // フィールドコードが「ステータス」のフィールド要素を取得
    const elements = kintone.app.getFieldElements(fieldCode);

繰り返し処理を使って取得した要素のスタイルを変更する

レコード詳細画面で使用したAPIとの大きな違いは、kintone.app.getFieldElements()の戻り値がフィールドのHTML要素の配列になっていることです。
そのため、繰り返し処理を使って取得したHTML要素のスタイルを変更します。
背景色を変更するには、取得したHTML要素のstyleプロパティのbackgroundColorに、カラーコードを指定します。

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    elements.forEach((element, i) => {
      // 何行目のレコードかを表す配列のインデックス番号iを使って、レコードの値を取得する
      const record = records[i];
      const statusFieldValue = record[fieldCode].value;

      // ステータスフィールドの値によって、背景色を変更する
      switch (statusFieldValue) {
        case '未着手':
          // 赤色にする
          element.style.backgroundColor = '#ff0000';
          break;
        case '処理中':
          // 青色にする
          element.style.backgroundColor = '#0000ff';
          break;
        case '依頼者確認中':
          // 黄色にする
          element.style.backgroundColor = '#ffff00';
          break;
        case '完了':
          // 緑色にする
          element.style.backgroundColor = '#00ff00';
          break;
        default:
          break;
      }
    });

DOM操作とkintoneアップデートの影響

JavaScriptに馴染みがある人は、document.querySelector()などのブラウザーのAPIを使ってkintone製品のHTMLのクラス名を指定し、HTML要素を取得する方法を思い付くかもしれません。
いわゆるDOM操作と呼ばれる方法です。

しかし、DOM操作はkintoneのアップデートに影響を受けやすくなるリスクを伴っています。
kintoneのアップデートで、製品のHTMLの構造が変更される可能性もあるからです。
たとえば、document.querySelector()で製品のHTMLのクラス名を指定していると、アップデートで製品のHTMLのクラス名が変わった場合にHTML要素を取得できなくなります。
スタイル変更が効かなくなるほか、実装方法によってはJavaScriptの実行時にエラーが発生して、カスタマイズ全体が動かなくなることもあります。

アップデートの影響を受けにくいカスタマイズを行うには、kintone APIドキュメントに記載されている方法で実装することが重要です。
たとえば、kintoneの画面のHTML要素を取得するAPIの一覧は、次のページで確認できます。
kintone JavaScript API|要素の取得
フィールド要素の場合には、スタイル変更のみがAPIドキュメントに準じた方法です。

tips
補足

アップデートの影響を受けにくいカスタマイズの詳細は、次の記事を参考にしてください。
そのカスタマイズ大丈夫? アップデートの影響を受けにくいカスタマイズTips

まとめ

今回は、kintone JavaScript APIを使ってフィールドのスタイルを変更する方法や、DOM操作によるkintoneアップデートへの影響について学びました。

フィールドを装飾することで、ユーザーが見落としてしまいがちな情報を強調表示できます。
また、アップデートの影響を受けにくいカスタマイズ方法は、kintoneカスタマイズを行う上で重要なポイントです。
「ある日突然カスタマイズが動かなくなった!」を防ぐためにも、DOM操作のリスクを理解しておきましょう。

次回は、 レコード詳細画面にボタンを配置してみよう について学習しましょう。