Microsoft Power BI × kintone カスタムコネクタ活用ガイド
はじめに
Microsoft Power BI(以下、Power BI)はMicrosoft Corporationが提供するBIツールで、データの可視化/共有を通じて意思決定を支援します。
本記事では、Power BIのカスタムコネクタを使ってkintoneのデータを取得/可視化する方法を紹介します。
基礎知識
Power BIについて
Power BIはデータを実用的な分析情報へ変換するのに役立つビジネス分析プラットフォームです。
取得したデータを整形/可視化して、組織で共有できます。
Power BIは主に次のサービスで構成されています。
サービス名 | 概要 |
---|---|
Power BI Desktop | Windows向けの無料アプリ。データ取得/整形/可視化が可能。 |
Power BI Service | クラウド上でレポートを共有/管理できるサービス。 使用するにはMicrosoftアカウントとライセンスが必要。 |
詳細は次のページを確認してください。
Power BIとは
カスタムコネクタについて
Power BIが標準で対応していないデータソースに接続するための拡張機能です。
kintoneのデータをPower BIに取り込むには、kintone用のカスタムコネクタ(以下、kintoneコネクタ)を利用します。
kintoneコネクタ
サポート方針
kintoneコネクタは運用環境で利用することを想定して、サイボウズ社が開発/提供しています。
kintoneコネクタの仕様の確認やトラブルに関する質問は、APIサポート窓口に問い合わせできます。
問い合わせ方法は、次のページを確認してください。
API、カスタマイズ、プラグインや連携サービスに関するお問い合わせ
機能とメリット
Power BI Desktopにkintoneコネクタを設定することで、kintoneアプリのレコードデータをPower BIに取り込めます。
Power BI Serviceを利用することで、Power BI Desktopで作成したレポートを公開/共有できます。
更新間隔や時間を指定した自動更新にも対応しています。
接続に必要な情報
項目 | 必須 | 説明 |
---|---|---|
Subdomain | ◯ | kintoneのサブドメイン 例:example.cybozu.comの「example」部分 |
Domain | ◯ | kintoneのドメイン 以下のいずれかを選択
|
App ID | ◯ | kintoneのアプリID |
Guest Space ID | kintoneのゲストスペースのスペースID ゲストスペース内アプリの場合は設定 |
|
Field Codes | 取得するフィールドコード 半角カンマ区切りで設定 例:フィールドコードが「文字列1行」「数値」のデータを取得したい場合は 文字列1行,数値 |
|
Record language setting | kintoneのレコードの取得言語 kintoneのレコードが多言語対応しているかつ、表示言語(APIトークン認証の場合はAdministrator、パスワード認証の場合はそのユーザーの表示言語)が「Webブラウザーの設定に従う」に設定されている場合は設定 |
1. Power BI Desktopでのレポート作成
1.1. 下準備
-
Power BI Desktop
をインストールします。
- kintoneコネクタ(mezファイル) をダウンロードします。
1.2. kintoneコネクタの設定
この設定により未検証のカスタムコネクタの読み込みが許可されます。
-
「ドキュメント/Power BI Desktop/Custom Connectors」フォルダーにkintoneコネクタ(mezファイル)を配置します。
- Custom Connectorsフォルダーがない場合は作成します。
-
公式ドキュメント
では「Microsoft Power BI Desktop」と記述されていますが、「Power BI Desktop」で動作することを確認しています。
-
Power BI Desktopを起動し、セキュリティ設定を変更します。
- Power BI Desktopのファイルから「オプションと設定」を選びます。
- 「オプション」を選択して、画面左から「セキュリティ」を選びます。
- データ拡張機能項目の「(非推奨)検証または警告せずに、あらゆる拡張機能の読み込みを許可する」を選択して「OK」をクリックします。
- 設定後、Power BI Desktopを再起動します。
-
「データを取得」→「kintone(カスタム)」を選択し、「接続」をクリックします。
-
コネクタについての警告が表示されますが、「接続」をクリックします。
-
接続に必要な情報 を入力し、「OK」をクリックします。
-
取得するデータを確認し、「読み込み」を選択します。
詳細は次のページを確認してください。
Power BI でのコネクタの機能拡張
2. Power BI Serviceでのレポート公開と自動更新設定
2.1. レポートの公開
Power BI Desktopから「発行」を選択し、レポートをPower BI Serviceに発行します。
2.2. データ自動更新のためのオンプレミスデータゲートウェイ設定
オンプレミスデータゲートウェイのインストールと設定
データを更新する際はオンプレミスデータゲートウェイを起動しておく必要があります。
データを更新したい時間帯に起動している環境を選択してください。
Power BI Desktopをインストールした環境と同じでなくてもかまいません。考慮事項などは後述の公式ドキュメントを確認してください。
-
オンプレミスデータゲートウェイ
をインストールします。
Power BI Serviceを利用するユーザーと同じアカウントでログインします。
回復キーは後述の作業で利用します。安全な場所に記録してください。 -
オンプレミスデータゲートウェイをインストールした環境にkintoneコネクタ(mezファイル)を保存します。
-
オンプレミスデータゲートウェイのコネクタタブを開き、kintoneコネクタ(mezファイル)を配置したディレクトリを指定します。
-
フォルダーのアクセス権限を設定します。
kintoneコネクタ(mezファイル)を配置したフォルダーで次のとおり操作します。- フォルダーを右クリックして「プロパティ」を選択します。
- 「セキュリティ」タブを開きます。
- 「グループ名またはユーザー名」に
PBIEgwService
が含まれているか確認します。 - 含まれていない場合は「編集」→「追加」をクリックし、「オブジェクト名」に
NT SERVICE\PBIEgwService
を入力して「OK」をクリックします。 - 「読み取りと実行」および「読み取り」の権限にチェックを入れて「適用」をクリックします。
注意
この操作には管理者権限が必要です。管理者として実行してください。
-
オンプレミスデータゲートウェイを再起動します。
数秒後にkintoneと表示されれば成功です。
詳細は次のページを確認してください。
オンプレミス データ ゲートウェイでカスタム データ コネクタを使用する
Power BI Service側でのゲートウェイ連携設定
-
Power BI Serviceにログインし、画面右上の歯車アイコンをクリックして、項目から「接続とゲートウェイの管理」をクリックします。
-
「オンプレミス データ ゲートウェイ」タブを選択し、先ほど設定したゲートウェイ名が表示されていることを確認します。
-
ゲートウェイを選択して画面上部の「設定」をクリックします。
-
設定画面が表示されるので、「ユーザーのカスタム データ コネクタが、このゲートウェイ クラスターを介して更新することを許可します」をチェックして「保存」をクリックします。
-
更新したいレポートのセマンティックモデルを開きます。
-
画面左上の「更新」から「更新のスケジュール設定」を開きます。
-
画面上部の「データ ソースの探索」をクリックします。
-
画面に「ゲートウェイとクラウド接続」が表示されるのでクリックします。
-
オンプレミスデータゲートウェイの一覧からkintoneコネクタ(mezファイル)を設定したゲートウェイの三角形のボタンをクリックして、「ゲートウェイを手動で追加する」をクリックします。
-
追加画面が表示されるので、Power BI Desktopで使用した 接続に必要な情報 を入力して「作成」をクリックします。
-
接続に成功すると設定画面へ戻るので、再度「ゲートウェイとクラウド接続」をクリックします。
-
ドロップダウンから設定した接続名を選択し、「適用」をクリックします。
2.3. データ更新の実行と自動化
更新するセマンティックモデルを開き、「更新」から「今すぐ更新」をクリックすると、現時点でのkintoneアプリのデータをレポートに反映できます。
「更新」から「更新のスケジュール設定」を開き、「最新の情報に更新」をクリックすると、自動更新を設定できます。
自動更新はkintoneへの負荷を考慮して、深夜など利用者が少ない時間の設定を推奨します。
よくある問い合わせ
kintone接続時に「値 null を型 Record に変換できません」と表示される
kintoneアプリのレコード件数が0件の場合に現象が発生することを確認しています。
kintoneアプリにレコードを登録してください。
それでも解消しない場合は下のページを参考に、キャッシュされたデータを削除してください。
Power BI Desktop の公開に関連するトラブルシューティング
おわりに
本記事では、Power BIのカスタムコネクタを使ってkintoneのデータを取得・可視化する方法を説明しました。
kintoneコネクタを活用することで、kintoneに蓄積されたデータをPower BIで効果的に分析/可視化し、組織の意思決定に役立てることができます。
kintoneコネクタの利用に関してご不明な点がございましたら、サイボウズのAPIサポート窓口までお気軽にお問い合わせください。
API、カスタマイズ、プラグインや連携サービスに関するお問い合わせ
更新履歴
kintoneコネクタ(mezファイル)の更新履歴です。
- 2025年9月15日
v1.0.0を公開
本記事は、2025年8月版kintone、Microsoft Power BI、およびkintoneコネクタv1.0.0で動作を確認しています。