はじめに
連携コネクタを使うと、kintoneとMicrosoft 365などのクラウドサービスをノーコードで簡単に連携できます。
本記事では、連携コネクタを使ってkintoneとOneDriveを連携する方法を紹介します。
kintoneの添付ファイルをOneDriveに自動保存することで、以下のようなメリットがあります。
- OneDriveでファイルを管理することで、Microsoft 365ユーザーとの共有が容易になる。
- 大容量ファイルや長期保存が必要なファイルを、OneDrive上で効率的に管理できる。
- kintoneの容量を節約できる。(kintone上のファイル添付を削除する場合)
連携コネクタの申し込み方法は、次のページを参照してください。
連携コネクタ プレリリース版(β版)
シナリオを設計する
今回は「kintoneにレコードを追加または編集したとき、添付ファイルを自動的にOneDriveに保存し、そのファイルのURLをkintoneに記録する」シナリオを作成します。
さらに、オプション機能として、kintone側の添付ファイルを削除することで、容量をより効果的に節約できる方法も紹介します。
下準備
アプリの準備
今回は新規でアプリを作成します。
次のフィールドを追加してください。
| フィールド名 | フィールドコード | フィールドタイプ | 備考 |
|---|---|---|---|
| タイトル | title | 文字列(1行) | |
| 添付ファイル | attachment | 添付ファイル | OneDriveにアップロードする添付ファイルフィールド |
| OneDrive URL | onedrive_url | 文字列(1行) | OneDriveにアップロードされたあと、そのURLが記録されるフィールド |
補足
既存のアプリに追加する場合は、「添付ファイル」フィールドと「OneDrive URL」フィールドを追加してください。
OneDriveの準備
OneDriveで、ファイルを保存するフォルダーを作成します。
-
OneDriveにアクセスし、任意の名前でフォルダーを作成します。
たとえば、「kintone連携ファイル」という名前でフォルダーを作成します。 -
作成したフォルダーのパスをメモしておきます。
Webブラウザー上でフォルダーを表示し、ブラウザーのアドレスバーに表示されているURLをコピーしてください。
シナリオを作成する
連携コネクタで、kintoneとOneDriveを連携するシナリオを作成します。
シナリオの基本情報を設定する
次のページを参考に設定してください。
シナリオの基本情報を設定する
ステップを作成する
シナリオの流れを構成する、イベントとアクションのステップを作成していきます。
今回作成するのは「kintoneにレコードを追加または編集したとき、添付ファイルを自動的にOneDriveに保存し、そのファイルのURLをkintoneに記録する」シナリオです。
次の順番で4つのステップ(オプションを含めると5つ)を作成します。
-
kintoneのレコード追加/編集を検知するイベント
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kintoneの添付ファイルをダウンロードするアクション
-
OneDriveにファイルをアップロードするアクション
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OneDrive URLをkintoneに保存するアクション
-
(オプション)kintone側の添付ファイルを削除するアクション
kintoneのレコード追加/編集を検知するイベント
はじめに、シナリオを実行するきっかけとなるイベントのステップを作成します。
利用するイベントは「レコード追加/編集の検知」です。
kintoneのイベントの詳細は kintoneコネクタのイベント一覧 を参照してください。
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[アプリ選択]で「kintone」をクリックします。
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[イベント選択]で「レコード追加/編集の検知」をクリックします。
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[Webhookコネクタ選択]で、Webhookコネクタの設定をします。
設定方法は kintone Webhookコネクタ を参照してください。
完了したら[次へ]をクリックします。 -
[基本設定]で、「検知するイベントの種類」に「追加」と「編集」の両方を選択し[次へ]をクリックします。
-
[サンプル取得]をクリックし、続けて[Webhook待機]をクリックします。
-
Webhookの設定をしたkintoneのアプリで、レコードを追加します。
連携コネクタの[出力確認]へ戻ると、レコードを追加したイベントが検知されて、追加した内容が表示されます。 -
[完了して次へ]をクリックして、次のステップに進みます。
kintoneの添付ファイルをダウンロードするアクション
次に、kintoneから添付ファイルをダウンロードするアクションのステップを作成します。
使うアクションはkintoneの「添付ファイルのダウンロード」です。
kintoneのアクションの詳細は kintoneコネクタのアクション一覧 を参照してください。
-
[アプリ選択]で「kintone」をクリックします。
-
[アクション選択]で「添付ファイルのダウンロード」をクリックします。
-
[認証コネクタ選択]で、kintone認証コネクタの設定をします。
次のページを参考に設定してください。
kintone 認証コネクタ -
[基本設定]で、「ファイルキー」に前のステップで取得した添付ファイルの
fileKeyを設定し[次へ]をクリックします。
出力データから、record > attachment > value > 0 > fileKeyを選択します。 -
[完了して次へ]をクリックして、次のステップに進みます。
補足
複数の添付ファイルを処理する場合は、一般コネクタの「繰り返し」アクションを使用して、すべてのファイルを順番に処理できます。
繰り返しアクションの詳細は
一般コネクタのアクション一覧
を参照してください。
今回は説明を簡単にするため、添付されるファイルが1つと仮定します。
OneDriveにファイルをアップロードするアクション
次に、ダウンロードしたファイルをOneDriveにアップロードするアクションのステップを作成します。
使うアクションはOneDriveの「ファイルのアップロード」です。
-
[アプリ選択]で「OneDrive」をクリックします。
-
[アクション選択]で「ファイルのアップロード」をクリックします。
-
[認証コネクタ選択]で、[新しいコネクタを追加]をクリックします。
-
[認証コネクタ作成]で、「認証種別」に「OAuth認証」を選択し、「タイトル」に任意の値を入力します。
続いて[認証]をクリックします。 -
Microsoft 365アカウントへのログイン画面が表示されるので、アカウントを選択するか、ログイン情報を入力します。
-
認証に成功したら[コネクタ作成]をクリックし、[次へ]をクリックします。
-
[アップロード先ドライブタイプの選択]、[アップロード先ドライブの選択]はアップロード先のフォルダーが含まれるものを選んでください。
-
[基本設定]で、次の表のとおりに設定し[次へ]をクリックします。
設定項目 設定内容 アップロード先フォルダーURL OneDriveの準備 でメモしたフォルダーパスを入力 ファイル名 前のステップで取得したファイル名を選択、または任意のファイル名を入力 -
[出力確認]で、[テスト実行]をクリックし、OneDriveにファイルがアップロードされることを確認します。
-
[完了して次へ]をクリックして、次のステップに進みます。
OneDrive URLをkintoneに保存するアクション
次に、OneDriveのファイルURLをkintoneのレコードに保存するアクションのステップを作成します。
使うアクションはkintoneの「レコードの更新」です。
-
[アプリ選択]で「kintone」をクリックします。
-
[アクション選択]で「レコードの更新」をクリックします。
-
[認証コネクタ選択]で、先ほど作成した認証コネクタを選択し、[次へ]をクリックします。
-
[基本設定]で、次の表のとおりに設定し[次へ]をクリックします。
設定項目 設定内容 更新タイプ レコードID レコードID 最初のステップで取得した record > $id > value -
[更新フィールドの選択]で、「OneDrive URL」を選択し[次へ]をクリックします。
-
[更新内容]で、前のステップで取得した
webUrlを設定し[次へ]をクリックします。 -
[完了して次へ]をクリックします。
ここまでで、基本的なシナリオは完成です。
右上の[保存]をクリックし、「シナリオ有効化」をONにします。
(オプション)kintone側の添付ファイルを削除するアクション
補足
このステップはオプションです。
kintoneの容量を節約したい場合は、OneDriveへのアップロード後にkintone側の添付ファイルを削除できます。
ただし、削除するとkintoneからは直接ファイルを確認できなくなるため、運用に応じて判断してください。
kintone側の添付ファイルを削除する場合は、次の手順で追加のアクションを作成します。
使うアクションはkintoneの「レコードの更新」です。
-
[アプリ選択]で「kintone」をクリックします。
-
[アクション選択]で「レコードの更新」をクリックします。
-
[認証コネクタ選択]で、先ほど作成した認証コネクタを選択し、[次へ]をクリックします。
-
[基本設定]で、次の表のとおりに設定し[次へ]をクリックします。
設定項目 設定内容 更新タイプ レコードID レコードID 最初のステップで取得した record > $id > value -
[更新フィールドの選択]で、「添付ファイル」を選択し[次へ]をクリックします。
-
[更新内容]で、「添付ファイル」を空欄のままにし[次へ]をクリックします。
空欄にすることで、添付ファイルフィールドがクリアされます。 -
右上の[保存]をクリックし、「シナリオ有効化」をONにします。
以上で、オプションを含めたシナリオの作成は完了です。
動作確認
kintoneのアプリでレコードを追加し、添付ファイルをアップロードします。
シナリオが正しく動作すると、次のことが確認できます。
-
OneDriveの指定したフォルダーに、ファイルがアップロードされている。
-
kintoneのレコードの「OneDrive URL」フィールドに、OneDriveのファイルURLが保存されている。
-
(オプション機能を有効にした場合)kintoneの「添付ファイル」フィールドが空になっている。
おわりに
本記事では、連携コネクタを使ってkintoneの添付ファイルをOneDriveに自動保存するシナリオの作成方法を紹介しました。
このしくみを使えば、kintoneの容量を節約しながら、OneDrive上でファイルを一元管理できます。
また、OneDriveのURLをkintoneに保存することで、レコードからすぐにファイルにアクセスできる利便性も保たれます。
大容量の画像や動画、長期保存が必要な契約書類など、さまざまなシーンで活用できる連携方法です。
kintone側の添付ファイルを削除するかどうかは、運用に応じて判断してください。
削除することでより多くの容量を節約できますが、kintone上でのファイルプレビューはできなくなります。
用途に応じて、柔軟に設定を変更してみてください。
このTipsは、2025年10月版kintoneで動作を確認しています。