kintoneの見積データをExcel for the webに自動転記して見積書を出力する方法【プロセス管理をトリガーに帳票を自動作成】
はじめに
サイボウズが提供する「連携コネクタ」を使うと、kintoneとMicrosoft 365の主要なクラウドサービスの連携もノーコードで実現できます。
本記事では、kintoneの見積データをExcel for the webに自動転記し、Excel上で整形した見積書をPDFとして保存する方法を紹介します。
見積書や請求書のように、決まったフォーマットで作りたい帳票があります。
Excelのシート上でフォーマットを組み立てれば、罫線や項目の配置を自由に決められます。
このシナリオでは、連携コネクタを使って「プロセス管理のステータス変更をきっかけにExcelへ転記する」ことで、CSVの書き出しとExcelでの加工にかかっていた手作業をなくします。
連携コネクタの詳細内容については、次のページを参照してください。
連携コネクタとは
想定読者
- 連携コネクタの基本的な設定を理解している方
- 実用的な連携コネクタの使い方を知りたい方
- kintoneのデータを、決まったフォーマットの帳票として出力したい方
- 決まったフォーマットの帳票を、Excelで作り込みたい方
ユースケース
この連携は、次のようなユースケースで活用できます。
- kintoneで管理している見積データを、自社の見積書フォーマットで出力したい。
- CSVの書き出しとExcelでの加工にかかっている時間を削減したい。
- 帳票のフォーマットを変更しても、連携のしくみを作り直さずに済ませたい。
シナリオを設計する
「kintoneの見積データをExcel for the webに自動転記して、見積書を出力する」シナリオを作成します。
具体的には、「見積書アプリのステータスを『印刷』に変更したら、そのレコードの内容をExcelブックへ転記し、Excelの帳票フォーマットでPDFを出力する」ことを行います。
このシナリオでは、連携コネクタとExcelの役割を分けます。
連携コネクタが担うのは「会社名」シートと「商品」シートへの転記までです。
帳票の見た目は「見積書」シートに作り込み、関数で2つのシートを参照して表示します。
役割を分けることで、帳票のレイアウトを変更したいときにExcelブックの修正だけで済みます。
警告
このシナリオでは、すべてのレコードの転記先として同じExcelブックを使用します。
新しいレコードを転記すると、前回転記した内容は上書きされます。
また、複数のレコードで同時にシナリオを実行すると、データが正しく反映されない可能性があります。
1件ずつ実行し、転記の完了を確認してからPDFを保存してください。
シナリオの完成イメージ
kintoneとExcel for the webの連携シナリオ例は次のとおりです。
画像をクリックして、確認してください。
下準備
kintoneアプリの準備
シナリオで使用するkintoneアプリを作成します。
-
フィールドの作成
「見積書」アプリに次のフィールドを作成します。
フィールド名(フィールドコード) フィールドタイプ 備考 会社名 文字列(1行) 「会社名」シートに転記するフィールド 明細 テーブル 「商品」シートに転記するテーブル 見積合計 計算 計算式: SUM(小計)
単位記号:円(後ろにつける) -
明細テーブルの作成
見積の明細を登録するテーブルを作成します。
テーブル内に次のフィールドを作成します。フィールド名(フィールドコード) フィールドタイプ 備考 商品名 文字列(1行) 単価 数値 単位記号:円(後ろにつける) 個数 数値 小計 計算 計算式: 単価 * 個数
単位記号:円(後ろにつける) -
プロセス管理の設定
ステータスは「未処理」と「印刷」の2つを作成します。
未処理から印刷にステータスを変更したタイミングで転記されるよう、次の表のとおりに設定します。アクション実行前のステータス アクション名(ボタン名) 実行後のステータス 未処理 印刷する 印刷
補足
今回は、しくみをわかりやすくするためにテーブル以外の項目を「会社名」だけにしています。
住所や顧客番号など、帳票に載せたい項目がある場合は、同じ考え方でフィールドとシートの転記先を増やしてください。
Excelブックの準備
転記先のExcelブックを作成します。
「会社名」「商品」「見積書」の3つのシートで構成します。
-
ワークシートの作成
OneDriveで任意の名前の空白のブックを作成し、次の3つのワークシートを追加します。
ワークシート名 役割 会社名 テーブル以外の情報の転記先 商品 テーブルの明細行の転記先 見積書 帳票のフォーマット -
見出しの入力
「会社名」シートと「商品」シートに、次の見出しを入力します。
ワークシート名 セル 入力内容 会社名 A1 会社名 商品 A1、B1、C1、D1 商品名、単価、個数、小計 -
帳票フォーマットの作成
「見積書」シートに帳票のフォーマットを作成します。
宛先や明細の欄には、「会社名」シートと「商品」シートを参照する関数を入力します。セル 数式 表示される内容 B3 =会社名!A2宛先の会社名 B10 =商品!A2明細1行目の商品名 D10 =商品!B2明細1行目の単価 E10 =商品!C2明細1行目の個数 F10 =商品!D2明細1行目の小計 F16 =SUM(F10:F14)合計 F18 =ROUNDUP(F16*1.1,0)消費税を加えた見積合計 明細の2行目以降も、参照する行番号だけを変えて同じように入力します。
参照先のセルが未入力の場合、0と表示されます。 -
ファイルURLの取得
OneDriveのマイファイルで、作成したブックの[•••]から[詳細]をクリックします。
「パス」の右側のコピーアイコンをクリックし、パスをメモします。
ここで示した数式とセルの配置は一例です。
「見積書」シートが「会社名」シートと「商品」シートを参照するという考え方さえ同じなら、レイアウトは自由に変更できます。
補足
「見積書」シートの明細欄は、あらかじめ必要な行数を確保しておいてください。
確保した行数を超える明細は、帳票に表示されません。
本記事では5行分(10行目から14行目)を確保しています。
シナリオを作成する
連携コネクタで、kintoneとExcel for the webを連携するシナリオを作成します。
ステップを作成する
シナリオの流れを構成する、イベントとアクションのステップを作成していきます。
今回作成するのは「kintoneの見積データをExcel for the webに自動転記して、見積書を出力する」シナリオです。
シナリオ全体の流れは次のとおりです。
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プロセスのステータス変更を検知するイベント
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会社名シートの値をクリアするアクション
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商品シートの値をクリアするアクション
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会社名を転記するアクション
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明細を1行ずつ転記する繰り返しアクション
5.1. 繰り返しの開始イベント
5.2. 明細の行をExcelに書き込むアクション
ステップ2とステップ3で値をクリアするのは、前回転記した内容が残るのを防ぐためです。
Excelへの書き込みは、渡したデータのぶんだけ上書きし、それより下の行には手を触れません。
そのため、明細が5行の見積書を転記したあとに明細が2行の見積書を転記すると、3行目から5行目には前回の明細が残ります。
残った明細は「見積書」シートの関数から参照されるため、帳票と合計金額の両方に反映されてしまいます。
1. プロセスのステータス変更を検知するイベント
見積書アプリのステータスが「印刷」に変更されたタイミングで、レコード情報を取得するイベントを作成します。
次の表を参考にイベントを設定します。
| 設定項目 | 設定内容 |
|---|---|
| アプリ選択 | kintone |
| イベント選択 | プロセスのステータス変更の検知 |
| 検知するステータス | 印刷 |
[Webhookコネクタ選択]では、「新しいコネクタを作成する」をクリックして見積書アプリのWebhookコネクタを作成します。
プロセス管理のステータス変更を受け取るために必要です。
詳細は
kintone Webhookコネクタを設定する
を参照してください。
[認証コネクタ選択]では、「新しいコネクタを追加」をクリック、または作成済みの認証コネクタを選択し、kintoneの認証情報を設定します。
設定後はサンプルデータが取得できることを確認します。
2. 会社名シートの値をクリアするアクション
「会社名」シートに残っている前回の転記内容をクリアするアクションを作成します。
-
次の表のとおりに設定します。
設定項目 設定内容 アプリ選択 Excel for the web アクション選択 範囲の値のクリア -
[認証コネクタ選択]で「新しいコネクタを追加」をクリックし、「認証種別」に「OAuth認証」を選択して[認証]をクリックします。
Microsoft 365アカウントへのログイン画面が表示されるので、アカウントを選択するか、ログイン情報を入力します。
認証に成功したら[コネクタ作成]をクリックします。 -
[ファイル選択]で、「ファイルURL」に Excelブックの準備 でメモしたパスを貼り付けます。
-
[基本設定]で次のように設定します。
設定項目 設定内容 ワークシート 会社名 範囲 A2:A10 -
[出力確認]で[テスト実行]をクリックし、「会社名」シートのA2セルが空になることを確認します。
問題がなければ、[完了して次へ]をクリックして、次のステップに進みます。
3. 商品シートの値をクリアするアクション
「商品」シートに残っている前回の明細をクリアするアクションを作成します。
-
次の表のとおりに設定します。
設定項目 設定内容 アプリ選択 Excel for the web アクション選択 範囲の値のクリア -
[認証コネクタ選択]では、ステップ2で作成した認証コネクタを選択します。
-
[ファイル選択]で、ステップ2と同じファイルURLを指定します。
-
[基本設定]で次のように設定します。
設定項目 設定内容 ワークシート 商品 範囲 A2:D100 クリアする範囲は、明細の想定行数より多めに指定します。
見出しの1行目は残すため、2行目から指定します。 -
[出力確認]で[テスト実行]をクリックし、「商品」シートの2行目以降が空になることを確認します。
問題がなければ、[完了して次へ]をクリックして、次のステップに進みます。
4. 会社名を転記するアクション
kintoneの会社名を「会社名」シートに転記するアクションを作成します。
-
次の表のとおりに設定します。
設定項目 設定内容 アプリ選択 Excel for the web アクション選択 セルの更新 -
[認証コネクタ選択]では、ステップ2で作成した認証コネクタを選択します。
-
[ファイル選択]で、ステップ2と同じファイルURLを指定します。
-
[基本設定]で次のように設定します。
設定項目 設定内容 ワークシート 会社名 セル A2 値 プロセスのステータス変更の検知 > record > 会社名 > value -
[出力確認]で[テスト実行]をクリックし、「会社名」シートのA2セルにkintoneの会社名が転記されることを確認します。
問題がなければ、[完了して次へ]をクリックして、次のステップに進みます。
5. 明細を1行ずつ転記する繰り返しアクション
kintoneの明細テーブルを1行ずつ処理して、「商品」シートに転記する繰り返しアクションを作成します。
-
次の表のとおりに設定します。
設定項目 設定内容 アプリ選択 一般 アクション選択 繰り返し -
[基本設定]で次のように設定します。
設定項目 設定内容 繰り返し対象 Array( プロセスのステータス変更の検知 > record > 明細 > value)エラー時に繰り返しをスキップ 指定なし -
[ブロックを開く]をクリックして、繰り返しアクションのブロック内に移動します。
ブロック内では、明細の1行を「商品」シートに書き込むため、次のステップを作成します。
5.1. 繰り返しの開始イベント
5.2. 明細の行をExcelに書き込むアクション -
(ブロック内)5.1. 繰り返しの開始イベント
ブロック内の最初のステップに[繰り返しの開始]が表示されます。
特に変更する箇所はないため、そのまま[完了して次へ]をクリックします。 -
(ブロック内)5.2. 明細の行をExcelに書き込むアクション
明細1行分の商品名・単価・個数・小計を「商品」シートに追記するアクションを作成します。-
次の表のとおりに設定します。
設定項目 設定内容 アプリ選択 Excel for the web アクション選択 行の追記/更新 -
[認証コネクタ選択]では、ステップ2で作成した認証コネクタを選択します。
-
[ファイル選択]で、ステップ2と同じファイルURLを指定します。
-
[基本設定]で次のように設定します。
設定項目 設定内容 補足情報 ワークシート 商品 - ヘッダ行 1 見出しを入力した行を指定します。 更新する行 指定しない 空欄のままにすると、既存の行の下に追記されます。 -
[更新するデータ]で次のように設定します。
設定項目 設定内容 商品名 繰り返しの開始 > item > value > 商品名 > value単価 繰り返しの開始 > item > value > 単価 > value個数 繰り返しの開始 > item > value > 個数 > value小計 繰り返しの開始 > item > value > 小計 > value[更新するデータ]の項目名は、[ヘッダ行]で指定した行の見出しから読み込まれます。
-
[出力確認]で[テスト実行]をクリックし、「商品」シートに明細が1行追記されることを確認します。
問題がなければ、[ホーム]をクリックして、繰り返しステップに戻ります。
-
-
[出力確認]で[テスト実行]をクリックし、「テスト実行が完了しました」と表示されることを確認します。
問題がなければ、[完了して次へ]をクリックして、次のステップに進みます。
以上で、シナリオの作成は完了です。
右上の[保存]をクリックし、「シナリオ有効化」をONにします。
動作確認
見積書アプリにレコードを追加し、会社名と明細を入力して保存します。
レコードの詳細画面で[印刷する]をクリックし、ステータスを「印刷」に変更してシナリオを実行します。
「会社名」シートと「商品」シートにkintoneの内容が転記され、「見積書」シートに反映されていることを確認してください。
また、明細の行数が異なるレコードでもう一度実行し、前回の明細が残らないことも確認してください。
見積書をPDFで出力する
転記が完了したら、「見積書」シートをPDFとして保存します。
Excel for the webでブックを開き、「見積書」シートを表示して、[ファイル]から[エクスポート]、[PDFとしてダウンロード]の順にクリックします。
Excelで作り込んだフォーマットのまま、PDFとして配布できます。
おわりに
本記事では、連携コネクタを利用してkintoneの見積データをExcel for the webに自動転記し、見積書のPDFを出力する方法を紹介しました。
このシナリオを活用することで、帳票作成の手作業をなくしながら、自社のフォーマットどおりの見積書を出力できます。
見積書以外にも、請求書や納品書など、kintoneのデータから帳票を出力したい場面で応用できます。
ぜひ、実際の業務に取り入れてみてください。
このTipsは、2026年8月版kintoneで動作を確認しています。
