はじめに
kintoneは、より快適な利用環境を提供するため、日々新機能の開発に取り組んでいます。
完成した新機能は、アップデートで順次公開されます。
しかしながら、アップデートによってカスタマイズが正常に動作しなくなることもあります。
そういった状況は、アップデートオプションを使うことで解決できます。
たとえば、一時的に新機能を停止して、動作検証が終わったら停止を解除するといった運用もできます。
また、現在開発中の新機能を一足早く試すことができるので、正式に導入される前に事前検証も可能です。
この記事では、アップデートオプションの詳細について解説します。
アップデートオプションとは
アップデートオプションとは、アップデートチャネルの選択や、一部の新機能の無効化・有効化設定の切り替えができる機能のことです。
アップデートチャネルの選択
アップデートオプション画面でできること
アップデートチャネルとは
アップデートチャネルとは、アップデート配信方式を切り替えできるしくみのことです。
アップデートチャネルには、「最新チャネル」と「月例チャネル」があります。
それぞれのチャネルの違いを説明します。
最新チャネルと月例チャネルの違い
最新チャネルと月例チャネルの違いを簡単にまとめます。
新機能の適用タイミング | 新機能の無効化 | |
---|---|---|
最新チャネル | 毎月の定期メンテナンス + その他のタイミング |
・配信後の新機能は一定の期間内で無効化が可能。 ・ 自動的に無効化を選択する は選択できない。定期メンテナンスで追加される新機能は配信時に有効となり適用される。・最新チャネルでのみ提供中の新機能も機能ごとに無効化が可能。 |
月例チャネル | 毎月の定期メンテナンス | ・配信後の新機能は一定の期間内で無効化が可能。 ・ 自動的に無効化を選択する が選択できる。有効にした場合、定期メンテナンスで追加される新機能は配信時に適用されない。 |
補足
どちらのチャネルを選択した場合も不具合修正など緊急性の高いアップデート等は、定期メンテナンス時以外のタイミングでも行われる場合があります。
それぞれのチャネルの特徴についての詳細は、次のページを参照してください。
アップデートチャネルの選択
新機能の無効化
配信された新機能は特定の期間内で無効にできます。
たとえば、特定の機能を一時的に無効にして、テスト環境で検証してから有効にするといった運用が可能です。
無効にできる期間は機能ごとに決められており、期間を過ぎると自動的に有効になります。
次の画像の場合「新しいファイル読み込み方式」が無効の状態で、その期限は2025年2月の定期アップデートまでとなります。
アップデートオプションの設定例
ユースケースごとにアップデートオプション設定例を紹介します。
いずれの場合も、本番環境に反映する前の段階で必ずテスト環境での動作確認を行うことをおすすめします。
新機能を先行して試したい場合
本番環境
- アップデートチャネルを
最新チャネル
に設定します。
「無効化の設定」は動作検証を行っていない項目はすべてチェックを入れ、検証済みの項目だけチェックを外します。
アップデートが行われた場合、「最新チャネルでのみ提供される新機能」は未検証の機能があれば「無効化の設定」にチェックを入れます。 - テスト環境での動作確認が完了したら、「無効化の設定」のチェックを外して新機能を有効化します。
テスト環境
- アップデートチャネルを
最新チャネル
に設定します。
最新チャネルでのみ提供される新機能は、「新機能の無効化(最新チャネルでのみ提供中の新機能)」で機能を確認し、無効にしたい場合はチェックを入れます。 - 問題が見つかった場合は、原因となりそうな項目を無効化にして再度検証し、問題を特定します。
問題に対処できるようにカスタマイズを行い、解決したら無効化を解除します。 - 検証が完了したら、本番環境でも同様に設定します。
新機能について動作を確認してからアップデートを適用したい場合
本番環境
- アップデートチャネルを
月例チャネル
にします。
「無効化の設定」は動作検証を行っていない項目はすべてチェックを入れ、検証済みの項目だけチェックを外します。
また、「オプション(アップデートの延期)」は「自動的に無効化を選択する」に必ずチェックを入れます。
これにより、新機能が配信された際、自動的に無効化されます。 - テスト環境での動作確認が完了したら、「無効化の設定」のチェックを外して新機能を有効化します。
テスト環境
- アップデートチャネルを
月例チャネル
にします。 - テスト環境は「新機能の無効化」はチェックを入れない状態にします。
問題が見つかった場合は、原因となりそうな項目を無効化にして再度検証し、問題を特定します。
問題に対処できるようにカスタマイズを行い、解決したら無効化を解除します。 - 動作の検証が終わったら、本番環境のアップデートオプションを設定します。
今後リリース予定の新機能を試用する
定期メンテナンスのほかに、開発中の新機能を先行して試すこともできます。 先行提供の種類は、次の3つです。
- リリース予定の新機能の先行利用
- 開発中の機能
- APIラボ
アップデートチャネルでどちらのチャネルを選んでも、これらの機能を実際に試すことが可能です。
試したい機能のチェックボックスをオンにするだけで、その機能を利用できます。
ただし、正式リリース時には仕様が大幅に変更されたり、リリース自体が中止される場合もあります。
機能の先行利用ついてはテスト環境での利用を推奨します。
リリース予定の新機能の先行利用
今後正式にリリース予定となっている新機能を先行で利用できます。
新機能適用後のプラグインやカスタマイズの動作確認など、新機能の事前検証ができます。
「リリース予定の新機能の先行利用」の対象機能
開発中の新機能
現在開発中の一部の新機能を、お試しで利用できます。
動作を確認し、kintoneの新しい利用方法を検討したい場合などに役立ちます。
リリース済みの機能と同様の動作検証を行っていますが、開発を取りやめる場合や、リリース時に大きく仕様を変更する場合があります。
また、リリース時にその機能に関する設定内容、記録されたデータやログなどをリセットしてリリースする場合があります。
「開発中の新機能」の対象機能
APIラボ
現在開発中の一部のAPIを、お試しで利用できます。
リリースせずに開発を取りやめる場合や、今後仕様を大きく変更する場合があります。
「APIラボ(開発中の新機能)」
おわりに
アップデートオプションは、kintoneの新機能を柔軟に管理し、システムの安定性を確保しながらカスタマイズを検証するための重要なツールです。
今回紹介した設定例を参考にして、運用に適したアップデートオプションで最適な環境を維持してください。
特に、事前にテスト環境で検証することは、システムトラブルを未然に防ぐための重要なステップです。
また、開発中の新機能を先行して試すことで、今後の機能に備えた準備やカスタマイズの調整も可能になります。
今後も新しい機能や改善がリリースされる予定ですので、定期的にアップデートオプションを見直し、最適な設定を維持することをおすすめします。